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杜に想ふ 未来への責任 山谷えり子

令和8年04月06日付 5面

 桜前線北上中。稲の生長を祈り、神様の到来を体で感じる花見の心は日本全国変はらない。
 先月、NHKのテレビ中継入り参議院予算委員会で質問させていただいた。緊迫する中東情勢、安全保障政策の強化、物価高対策など課題山積であるが、主に「国の構へ」をしっかりさせる視点で、土地と安全保障、教育、成長戦略、皇室典範改正、拉致問題などについて質問した。良い答弁をいただけたが、とくに教育の質の向上についての反響が大きかったのでお伝へしたい。
 教育といへばもっぱら給食や高校の無償化をとりあげられることが多いが、実は給食無償化の趣旨には、農林水産業の振興や地産地消、地方創生の視点がうたはれてゐる。であるなら、給食無償化は子供たちの農業体験とセットで推し進めねばならないはずである。食料安全保障の重要性をいふなら、食と農の理解、一体性が必要である。今農業人口は、平成十二年(二〇〇〇)の二百四十万人から半分の百二十万人を割り、二十年後には三十万人台くらゐになるといはれてゐる。現在の農業従事者の平均年令は六十八歳。食育基本法改正に取り組んでゐるが、給食の地産地消は地域差が実に大きい。
 農は国の基。命の源。五穀豊穣の祈りは、古くから日本人の祈りの中心であった。土いぢり、農業と食への感謝、いただきますの心を育むには農業体験が必修で、給食無償化の趣旨に、看板のやうにただ書いておくだけではすまされない。タブレットからでは得られない感性を養はないと、日本の未来は危ない。
 農業体験は農水省やJAも協力してくださってゐる。鈴木憲和農水大臣は、さらに農林漁業教育の実践支援をするといふが、文科省と連携し、耕作放棄地を活用するなど全力で進めてほしい。教育基本法改正で、教育の目標に豊かな情操、公共の精神、生命を尊び、自然を大切に、伝統と文化を尊重し、それらを育んできたわが国と郷土を愛する……といふことが明記された。令和の教育バージョンアップのための予算、官民連携、制度設計を総理に求めたところ、高市早苗総理は「私がリーダーシップを発揮し、各教育段階を通じた教育の質の向上に取り組んでまゐります」と力強く答弁された。
 子供をめぐる状況は激変してゐる。二月にこども家庭庁がインターネット利用の調査発表をしたところ、高校生で平日平均六時間四十四分、中学生で五時間二十四分使ってゐるといふ。恐ろしいことである。諸外国はSNS利用規制を始めてゐる。闇バイト、性被害、低年齢化、長時間利用による心身への悪影響、アルゴリズムの偏りなど深刻な状況。黄川田仁志担当大臣は法制上の対応も含めて検討すると答弁されたので、ぬるい対策ではなく、子供を守るしっかりした法整備を実現させていきたい。
 子供たちのすこやかな成長につとめぬくのは未来への責任である。
(参議院議員、神政連議員懇副幹事長)

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