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【新刊紹介】世界秩序 グローバル化の夢と挫折 田所昌幸著

令和7年10月13日付 6面

グローバル化の視点から 歴史を俯瞰し未来を考察

 本書は帯に端的に記されてゐるやうに、「第二次世界大戦以降、アメリカが主導してきたグローバル化が挫折しつつある。自由民主主義と市場経済の社会モデルが綻びを見せ、権威主義の中国やロシアが秩序変更を狙う」との認識に基づき、「古代ローマ帝国から現代のアメリカ一極優位までを俯瞰し、『一つの世界』への統合と、分解のダイナミクスを捉える。さらにグローバル化後の『四つの世界秩序』の可能性と、日本の未来を考察する」ものである。

 わが国では大東亜戦争終結にともなふ米国による占領政策の後、国家や社会・組織における個人の役割などといったことがあまり論じられなくなり、ややもすれば個人の利益のみを追ひ求めるやうな風潮も感じられる。本書は米国主導の世界秩序が綻びを見せるなかで、その過去と将来を語りつつ、現在を生きる我々に対して国家・国民のあり方を問ひかける一冊ともいへるのではなからうか。
〈税込1012円、中央公論新社刊。ブックス鎮守の杜取扱書籍〉(桂)
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