杜に想ふ
国の歴史 山谷えり子
令和8年02月02日付
5面
木々の芽がほころぶ季節、赤や緑のかはいい芽を見ながら、いのちの産声にうっとりとしてゐる。フキノトウも丸い芽を出し、テンプラにしたらさぞかし春の香が口いっぱいに広がるだらうと想像しては幸福感にひたってゐる。
総選挙のまっただなかの初春になったが、若い方々が政治に関心を持ち、「日本を守らう。日本を創るのは自分たちだ」といふ心が育ってきてゐるやうな様子にありがたさと同時に責任の重さを感じてゐる。
今年は、七年後の第六十三回神宮式年遷宮に向けてお木曳行事が五月から七月にかけて予定されてゐる。特別神領民として参加できるとあって、今から予定を入れようとしてゐる友人もゐる。神宮と国民の絆を感じて嬉しい限りである。リンカーン大統領は「国民は記憶の糸でつながってゐる」と言ってゐた。
さて、全国各地では建国記念の奉祝式典準備も始まってゐるが、小学生だった孫に建国記念日について「初代神武天皇さまが奈良の橿原の宮で御即位された日。一人一人が大切にされる国。徳のある国。そして世界が家族のやうに睦まじく暮らす国を作りたいとおっしゃられた日。そして今、今上陛下は百二十六代目でいらっしゃるの。日本は世界で最も長い連続した歴史、伝統、文化の国なのよ」と伝へると、「知らなかった。学校で教はらないよ」と驚いた様子が返ってきた。ちなみに小学校学習指導要領解説には、第六学年の歴史の内容について「天皇が国民に敬愛されてきたことを理解できるようにすることも大切である」とある。法的には国民の祝日に関する法律の第二条で建国記念の日の趣旨について「建国をしのび、国を愛する心を養う」と規定され、昭和四十一年佐藤栄作内閣で政令により国民の祝日と定められた。学校教育の場では、かうした自分の国のことについて思ひを深める機会が与へられないでゐるのが現実で、淋しいことである。
日本は辿れる国であり、神代の物語とつながってをり、今も生きて直結しながら神々とともに暮らしてゐるといふ日本人の心の深層こそが、思ひやりや勤勉、親孝行の感情を育んできた。建国記念の日の意味と意義を次の世代に伝へ、寿ぎと祈りの国であることを知れば、真の希望や力も生まれてこよう。ケネディ大統領が「国が何をしてくれるかではなく、国のために何をできるかと考へてほしい」と呼びかけたことにならふわけではないが、若い方々の政治への関心の昂りが“私”への思ひとともに“私”を越えた“国”と先祖への愛へとつながっていってほしい。
学ぶことは生き方の質を決定していく。ともすればエゴイズムに取り込まれ、暴走しがちになる社会の空気のなかにあって、確かなタテの糸の座標をもつ国民であることは希望の根っこそのものではないだらうか。
(参議院議員、神道政治連盟国会議員懇談会副幹事長)
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