【新刊紹介】田んぼのまん中のポツンと神社 えぬびい著
令和7年05月19日付
6面
かつては「当たり前」の 田んぼと神社の景色を 本書は「ポツ神(ポツジン)」の写真集である。「ポツ神」とは、著者の造語で「郷愁と不思議に満ちた」「田んぼのまん中のポツンと神社」(表紙)のことらしい。
かつては、春秋の山の神・田の神の交替伝承に合はせてくり広げられた行事に神社の御存在を感じてきた。果たして「ポツ神」に、現代の田の神信仰を補完するやうな期待をするのは求めすぎだらうか。少なくとも田んぼと神社の、当たり前だけど当たり前ではなくなりつつある景色を再照射する不思議な写真集である。斯界において本書の可能性を最大化することは「ポツ神」のみならず、神社の尊厳護持を踏まへて撮影リテラシーを高めつつ、御神威や魅力を幅広く発信・共有いただくための教化実践に委ねられてゐる。
〈税込2420円、飛鳥新社刊。ブックス鎮守の杜取扱書籍〉(皇學館大学教授・板井正斉)
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