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杜に想ふ 文化芸術の振興 山谷えり子

令和8年11月02日付 4面

 各地で菊花展や品評会がおこなはれてゐる。神社主催の菊花展も多く、気品ある菊の美しさとともに、育てた方々の技と心意気に感服しながら観賞するのは秋の楽しみである。
 さて、国会は経済と財政についての議論が活溌化してゐる。高市内閣は強い経済のため戦略性をもって十七分野、令和二十二年(二〇四〇)度までに三百七十兆円規模の官民投資推進の方針を打ち出した。十七分野の投資戦略のなかでは、「AI・半導体」が百一・六兆円、「デジタル・サイバーセキュリティ」が五十五・四兆円、「創薬・先端医療」が四十三・三兆円、そして「コンテンツ」が全体で四位の三十三・七兆円の投資目標となってゐる。文化やコンテンツを投資戦略とすることに驚きの声もあったが、今や輸出産業としては自動車に次ぎ、半導体や鉄鋼を抜いて六・一兆円(令和六年)なのである。
 日本の文化は奥深く、多様性が強みであるが、これまで戦略性と投資の視点が欠けてゐた。国の文化、コンテンツは国のブランド力であり、相乗効果も創り出す。
 そこで過日、私が幹事長を務めてゐる文化芸術振興議員連盟のメンバーと韓国の文化芸術政策の視察をしてきた。韓国は平成九年のアジア通貨危機で打撃を受け、文化で勝ち筋を作らうと、文化産業育成を国家戦略とし、制作者支援、法律、税制、投資支援、海外進出に官民連携で力を入れてきた。主管する文化体育観光省のもと、食・ファッション・コスメ・美容、ライフスタイル、観光を文化の新産業カテゴリーとし、今や輸出総額は約十一・五兆円。令和十二年末には市場規模四十四・九兆円を目指してゐる。ドラマ「冬のソナタ」やアカデミー賞四冠の映画「パラサイト 半地下の家族」、Kポップ、BTSなどの世界的ヒットは、攻めの政策支援が背景にある。
 三日間の韓国視察で、私たちはルーブル美術館、バチカン美術館に次ぐ今や世界第三位の入館者となった国立中央博物館を見学し、大小百五十の劇場が密集する小劇場街を歩き、国立韓国芸術総合学校、漫画やゲーム博物館などを視察し意見交換をした。国立中央博物館は家族連れでにぎはひ、国立芸術大学は九割が現役の芸術家、映画監督、音楽、編輯、プロデューサーなどの実務家が教授を務めてゐる。また、韓国コンテンツ振興院では、文化関係スタートアップ企業の資金調達、海外契約、知的財産権の管理など、世界に打って出る応援を政府がしてゐた。
 文化は心の安全保障、日本の力の源泉である。韓国の文化立国への取組みも参考にしながら、日本らしい文化立国実現を目指さなければならない。文化と経済の好循環を図り、日本各地の豊かな文化の振興、次世代への継承を推進するべく、令和九年度予算編成にのぞみたい。
(参議院議員、神道政治連盟国会議員懇談会副幹事長)

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