論説
青葉会議を終へ 評議員会と新執行部の今後
令和7年06月02日付
2面
今号掲載の通り、神社本庁の令和七年五月定例評議員会を中心とする斯界恒例の青葉会議が終はった。神社本庁の役員改選期にあたった今年は評議員会の日程が一日長く、五月十九日午前の常務理事会から二十四日午後の臨時役員会までの六日間に及んだ。
今年は大東亜戦争終結八十年、昭和百年にあたり、また来年は敗戦にともなふ神道指令の影響により神社本庁が設立されてから八十年、さらに昭和元年から起算して満百年となるなど、さまざまな節目を迎へる。そしてなにより、去る五月二日には第六十三回神宮式年遷宮における諸祭・諸行事の嚆矢として、天皇陛下の日時御治定を仰いで山口祭と木本祭が斎行され、今後は六月の御杣始祭・裏木曽御用材伐採式や御樋代木奉曳式、九月の御船代祭へと続く予定だ。重要事項について審議する神宮式年遷宮委員会もすでに二月一日に設置されてをり、遷宮奉賛に向けた斯界の活動もいよいよ活溌化していくこととならう。
青葉会議における各種会合の成果が、遷宮奉賛をはじめ斯界における今後のさまざまな活動に資するものとなることを切に望むものである。
○ 今回の評議員会では、七月一日からの新年度を前に一般会計歳入歳出予算案を決議。また各地で自然災害が相次ぐなか、原子力災害に係る神社支援基金を神社復興支援基金に統合して基金の充実を図るとともに、長期的対応が必要な原発事故の被災神社の復旧・復興に資するための規程変更、そのほか神社本庁憲章の誤植訂正などもおこなはれた。
さらに各地区からの提出議案として、大東亜戦争終結八十年に際しての靖國神社・護国神社への参拝勧奨や英霊顕彰の心の護持顕現のための運動展開、憲法改正に向けた対策や自主憲法のあるべき姿の明確化、第六十三回神宮式年遷宮の活溌なる啓発運動の展開――などを内容とする三件を決議。また、神葬祭の普及を視野に入れた歴史的死生観の啓発に関する一件が本庁当局に送付されてゐる。
いづれも時宜に則した重要な内容であり、文字通り「神社本庁に要望」してすべてを任せるといふことではなく、評議員をはじめ神社本庁の構成員たる関係者一人一人が自らの課題と捉へて取り組みたいものである。
○ さうした会議日程を通じての最大の関心事は、やはり評議員改選にともなふ正副議長の選任や、統理選挙をはじめとする役員改選にあったのではなからうか。三年前の役員改選時は、今回の評議員会でも一連の報告があったやうに総長選任をめぐって臨時役員会での議論が紛糾。その地位確認をめぐる訴訟にまで発展し、およそ二年半に亙り新たな総長・副総長が選任されないといふ状態が続いた。
顧みればこの十年ほどの間、百合丘職舎の売却をめぐる問題、その関連のなかで生じた本庁職員の懲戒処分をめぐる訴訟、そして今回の総長選任問題のなかで斯界内部の対立が先鋭化。評議員会においてもそれぞれが自らの主張に固執し、相手の批判をくり返すなかで議論がひたすら平行線を辿り、結果として当初予定してゐた終了時間を大幅に超過するやうなこともあった。
それ以前の評議員会においては出席者からの発言はむしろ稀で、会議が形式的なものになってゐることに対して本欄でも苦言を呈してきたのである。引き続き評議員会における活溌な議論を歓迎するとともに、その内容が斯界の今後のためにより有意義なものとなることを期待したい。
○ 冒頭でも触れたやうに、大東亜戦争終結八十年、昭和百年、そして神社本庁設立八十年などの節目のなかで、いよいよ式年遷宮の奉賛活動が本格化するなど、斯界にとって重要な時期を迎へてゐる。
今回の評議員会においては、新たに選任された評議員が出席し、また正副議長の選挙もおこなはれた。新任の評議員による発言などを含め、議事には従前とはやや異なる雰囲気や、変化の兆しのやうなものも感じられたのではなからうか。そして今号紙面に紹介されてゐるやうに、注目の役員改選の結果も明らかとなってゐる。
この大切な秋にあたって斯界として今後いかに行動できるのか。評議員会そして新執行部の使命と役割はいよいよ重いといへよう。
令和七年六月二日
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