論説
国民総奉賛の名のもと連携を 遷宮広報の推進本部
令和8年09月21日付
2面
このほど、第六十三回神宮式年遷宮の広報活動を担ふ伊勢神宮式年遷宮広報事業推進本部の設置が決まった。
同本部は式年遷宮の広報活動にあたり、神社本庁・神宮を主体としつつ関係組織を横断した企画立案・総合調整をおこなふことで、効果的な事業を推進することが目的。前回遷宮時の伊勢神宮式年遷宮広報本部は神宮司庁・神社本庁・神社新報社を当初の設立母体としたが、今回はそのほか関係組織にも参画を呼びかけて発信力をより強化する予定だといふ。
式年遷宮の諸祭・諸行事が順調に執りおこなはれるなか、その中心的祭儀として令和十五年に予定される皇大神宮・豊受大神宮での遷御の儀を見据ゑつつ、いよいよ広報活動が本格的に動き出すこととなりさうだ。
○ 前回遷宮時には天皇陛下より御聴許を賜った平成十六年に伊勢神宮式年遷宮広報本部が設置されてゐる。
同本部においては、標語・シンボルマークの募集、藤井フミヤ氏による遷宮イメージソング「鎮守の里」の制作、全国各地での伊勢神宮展や「式年遷宮について語る夕べ」の実施、遷宮奉祝曲・交響詩「浄闇の祈り」の制作とコンサート開催など、さまざまな広報事業を企画・推進。式年遷宮について理解を深めてもらふべく、広く内外に働きかけた。
また、報道関係者を対象とするマスコミ懇談会を複数回に亙って実施。その取組みにより、テレビや新聞・雑誌など多様なメディアが式年遷宮を好意的に取り上げたことで、全国的な遷宮気運の醸成にも繋がったといへるのではなからうか。
さうした前回遷宮を経て迎へた現在、スマートフォンの普及やソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の滲透など、情報伝達技術の著しい進展によって広報活動のあり方は大きく変化した。その変化の影響はもちろん斯界にも及び、すでに神宮においてもフェイスブックやインスタグラムの公式アカウントで写真・動画を積極的に配信してゐる。
伊勢神宮式年遷宮広報事業推進本部においては、これまでの実績に基づき、また時代や状況の変化に対応しつつ、有効かつ意義ある広報活動を展開することが求められよう。
○ もちろん遷宮広報に関しては、すでに神社本庁や神社庁・支部、神道青年全国協議会などでもさまざまな取組みが進められてゐる。
このうち、例へば式年遷宮の写真パネル展は各地で開催されてをり、展示にあはせた講演会や雅楽・舞楽の演奏会、朱印展の実施などを含め、基本となる形がある程度まで共有されてゐるやうな状況も見られる。また、さうした取組みのなかには、御師による御祓大麻の頒布や近世のお伊勢参りをはじめ、地元における神宮崇敬・伊勢信仰の歴史などに注目した催しもあった。
もちろん、千三百年に亙って続けられてきた神宮の式年遷宮は、単なる東海地方の一神社における神さまのお引っ越しではない。現代に至る神宮とそれぞれの地元との関係性を顧みることは、皇祖・天照大御神を奉斎し、皇室とも深い結び付きを有する神宮の歴史と伝統について、自らの先人たちの営為のなかで改めて理解を深める良い契機ともならう。さうした取組みは、式年遷宮だけでなく、戦後は一宗教法人となってゐる神宮の真姿顕現はもとより、神宮大麻の奉斎に向けた啓発のためにも有効なのではなからうか。
○ かうした広報活動との連動が重要となる募財活動に関しては、平成二十年の公益法人制度改革にともなひ、中央・地方の組織設立をはじめ各種の事務手続き、募財の開始時期や期間など、これまでとは異なる部分もあるといふ。さうしたなかで、今年四月二十七日には一般財団法人伊勢神宮式年遷宮奉賛会が設立されてをり、公益財団法人への移行、指定寄附金の申請・取得、地方組織の設立などを経て、令和十年度から募財受付を開始する予定となってゐる。
伊勢神宮式年遷宮広報事業推進本部における取組みは、今後の円滑な募財活動の基盤作りのため、また神社庁・支部や神社などにおける広報活動の指針や支援としても重要とならう。国民総奉賛の名のもと、斯界はもとより関係組織が密接に連携し、効果的な広報活動の推進に邁進したいものである。
令和八年九月二十一日
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